大企業なら安心・・・なのかな?

先日から、サッポロビールサッポロホールディングス)に対する米系のスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドからの買収提案に対し、アサヒビール資本提携を打診しているというニュースが報じられている。これに対し、キリンビールも提携を持ちかける可能性があるのではないか、などの憶測も飛び交い、ビール業界も酒を飲んでる場合じゃないくらいの、大騒ぎになってる。アサヒもキリンも、非常に僅差でシェアNo.1の座を争っており、相手にサッポロを取り込まれたら大きな差がついてしまうので、本当に大変だ。
ここで、私がことあるごとに言及している、1997年との比較をして見ましょう。キリンは昔は業界ダントツのNo.1でしたが、スーパードライの大ヒットでアサヒに急追され、1998年に発泡酒を除くビールにおいてアサヒにシェアを逆転されてしまいました。さらにビールと発泡酒の合計累計出荷数量でも、2001年にアサヒビールにシェアトップの座を譲っているようです。さらに、今回のアサヒとサッポロの提携が実現すれば、完全に立場が逆転してしまいます。キリンが独走していたの全盛期には想像も付かなかったことが、今まさに現実としておきているわけですよね。さらにサッポロビールにいたっては、スティールに買収されようが、同業他社と提携しようが、非常に苦しい立場になることでしょう。
それ以外にも、大丸と松坂屋の統合交渉など、大型M&Aの話が連発しています。さらに、以前別のところでも書いた通り5月には三角合併解禁を控えており、それ以降はさらにM&Aが進むことでしょう。自分の会社が、突然ほかの会社になってしまう。あるいは、証券大手の日興コーディアルグループが不祥事で監理ポストに入れられて、上場廃止の恐れがある。もはや、大企業なら安心ではないということを、改めて感じさせられます。やはり、自分の身は自分で守らなきゃいけない、ということなんでしょうね。

石崎 浩之
国際ビジネスコンサルタント
ブレインストーム・ワールドワイド代表(http://www.brainstormww.com/

今日のBGM:MIKA「Grace Kelly
デビュー曲にしてUKチャートNo.1を獲得したUKロック期待の新人。曲調や歌いまわしが、フレディー・マーキュリーを彷彿とさせます。